Programmatic GuaranteedとPrivate Auctionの違い、そして本質的な課題
Amazon Prime Video Ads(以下PVA)は、2026年1月15日から多数の代理店による販売が開始されることで、日本市場でも注目が高まりつつあります。
しかし、実際の運用現場を見ると、PVAというメディアの本質が十分に理解されないまま導入されているケースが少なくありません。
その象徴が、Programmatic Guaranteed(PG)とPrivate Auction(PA)の扱われ方の違いです。
結論:PGとPAの違いは「配信方式」ではない
Programmatic Guaranteed(PG)
- 枠・金額・配信量を事前に確約する予約型
- 日本ではテレビCMに最も近い感覚で利用されている
Private Auction(PA)
- 限定広告主のみが参加できる入札型(RTB)
- 日本ではPGの補完、またはテスト用途に留まりがち
この違いは、単なる配信ロジックの差ではありません。
日本の広告運用文化そのものを色濃く反映した結果です。
Programmatic Guaranteed(PG)とは何か
PGは、広告枠・配信量・CPM・配信期間を事前に確定し、入札を行わずに配信する形式です。
配信量が保証されるため、計画性が極めて高い点が特徴です。
日本市場におけるPGの使われ方は明確で、
- 年間・半期単位での予算確保
- 大手広告主 × 大手代理店主導
- KPIはリーチ、フリークエンシー、認知指標
と、テレビCMの延長線上に完全に位置付けられています。
なぜ日本ではPGが好まれるのか
理由は非常にシンプルです。
- 予算消化が読みやすい
- 社内稟議や事後説明が通しやすい
- 「確実に出せる」安心感がある
- 入札=不確実、という心理的抵抗が強い
PVAという新しいメディアであっても、意思決定の思想は従来のマス広告からほとんど変わっていません。
Private Auction(PA)とは何か
Private Auctionは、Amazonが指定した限定広告主のみが参加できる入札型配信です。
- CPMは変動
- 配信量は非保証
- ターゲティングや条件設計の自由度は高い
にもかかわらず、日本ではPAは主役になりきれていません。
実際の運用では、
- PGで取りきれなかった在庫の補完
- 新しいターゲットや文脈のテスト
- デジタル理解が進んだ広告主の実験枠
といった位置づけに留まることが多いのが現実です。
なぜ日本ではPAが広がらないのか
理由は技術ではなく、組織と文化にあります。
- 配信量が保証されない
- CPMが事前に確定しない
- 成果説明が複雑になる
これらは、日本特有の稟議・レビュー文化と相性が良くありません。
結果として、
「PGが本番、PAは調整用」
という構図が定着しています。

日本のPVA運用に潜む、より大きな問題
本質的な問題は、「PGかPAか」という話ではありません。
日本ではPVAそのものが、
- どの枠を買ったか
- CPMが高いか安いか
という広告枠中心の議論に閉じてしまっています。
その結果、
- PGは「出したからOK」
- PAは「CPMが高かった/安かった」
という、テレビ時代の評価軸から抜け出せていません。
本来、Prime Video Adsは何を見るべきメディアなのか
PVAの本質は、以下まで含めて評価できる点にあります。
- 視聴していたコンテンツやジャンル
- 視聴文脈
- 視聴後の検索行動
- 商品詳細閲覧や購買への影響
つまり、
- PGは「確実な土台を作る役割」
- PAは「どこが最も効いているかを見つける役割」
として使い分けることで、PVAは初めて運用に組み込めるメディアになります。
広告ではなく、「運用データ」としてのPVA
ここが、日本市場で最も議論されていないポイントです。
PVAは本来、
- 検索行動にどう影響したのか
- SP / SB / DSPとどう連動したのか
- 新規顧客と既存顧客で反応はどう違ったのか
といったアカウント全体へのインパクトを見るためのメディアでもあります。
しかし日本では、
- PVAはPVA
- 検索広告は検索広告
と切り離され、因果関係がほとんど分析されていません。
まとめ:問うべきは「PGかPAか」ではない
日本におけるPVAの議論は、いまだに手段論に留まっています。
本来問うべきなのは、
- PVAを、どの運用プロセスにどう組み込むのか
- その配信が、アカウント全体にどう影響したのか
という設計と思考です。
PGもPAも、正しく使えば極めて強力です。
しかし、それを「広告枠」としてしか見ない限り、PVAが日本市場で真価を発揮することはありません。
PVAを広告ではなく、運用を理解するためのメディアへ。
そこに、日本のEC・広告運用が次のステージへ進むヒントがあります。




