Picaro実践レポート「N-gram分析」:Amazon広告の検索語、活かせてますか?

― PPC改善のカギを握る「N-gram分析」とは ―

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目次

こんにちは、Picaroマーケティングチームです。
Amazon広告(PPC)を運用していると、こんな悩みに直面しませんか?

  • 広告費をかけているのに売上に結びつかない

  • 検索語が多すぎて、最適化の手が回らない

  • ネガティブキーワードの設定が後手に回っている

こうした課題に対して、私たちPicaroが効果的だと考えているのが「N-gram分析」です。
今回は、Amazon広告運用における全体設計の中でも特に重要なPhase1(情報収集)とPhase2(最適化)に焦点を当て、新商品投入直後にどのように検索語を活用すべきかを具体的に解説します。

Phase1:広く打つ。まずは検索語を集めるフェーズ

Amazonに新商品を投入した直後、広告運用の最初の目的は「とにかくユーザーの検索行動を可視化すること」です。この段階では、どんな検索語が自社商品の購入につながるか、まだ仮説の域を出ていません。
そのため、

  • オートターゲティングやブロードマッチを使い、幅広い検索語に対応する

  • 検索語レポートを通じて、ユーザーがどのような言葉で商品を探しているかを観察する

  • 一定の無駄クリックは、学習コストとして許容する

といった設計が重要になります。このPhase1は“広げるフェーズ”です。短期的なROASやACOSに一喜一憂するのではなく、「ユーザーの検索行動データ」という資産を蓄積する段階と捉えるのがポイントです。そして、Phase1で得られたデータこそが、次のPhase2で広告効果を飛躍的に高めるための土台となります。

Phase2:削ぎ落とす。Sharpeningフェーズの開始

Phase1で集めた膨大な検索語データを、そのままにしておくのはもったいない。
次に行うべきは、「どの検索語が成果につながり、どれが費用対効果の悪い語句か」を整理・再構成する工程です。ここで登場するのが「N-gram分析」です。

N-gram分析とは? その本質と重要性

N-gram分析とは、検索語(Search Term)を構成する語句を、1語、2語、3語などの単位に分解し、それぞれの語句が広告成果にどう影響しているかを定量的に分析する手法です。たとえば、「gifts for mom」「birthday gift for mom」「mom gift ideas」といった検索語があった場合、それぞれを以下のように分解します。

  • 1-gram(単語単位):gifts, for, mom, birthday, ideas など

  • 2-gram(2語単位):gifts for, for mom, birthday gift, gift ideas など

  • 3-gram(3語単位):gifts for mom, birthday gift for, gift for mom など

これを全検索語データに適用することで、ある特定の語句(たとえば「mom」)が含まれる検索語全体でのクリック数、インプレッション数、コンバージョン数、ACOS、CVRなどを一括で把握できます。通常の広告運用では「検索語単位」での評価にとどまりますが、N-gram分析を用いることで「検索語を構成する語句ごとの横断的なパフォーマンス」を見られるようになります。
この横断的な視点こそが、広告最適化における最大のブレークスルーとなるのです。

N-gram分析で何が見えるのか?

N-gram分析によって得られる示唆は多岐にわたります。以下は代表的なユースケースです。

  1. 無駄な広告費を生むキーワードの特定

  2. 売上に直結する語句(高CVR語句)の発見

  3. よく出現しているが広告に含まれていない語句の抽出(機会損失)

  4. 商品の購買属性(カラー・素材・用途など)ごとの傾向分析

  5. 商品コピー・タイトル最適化への応用

たとえば、100件以上のクリックがあるにもかかわらず1件も注文されていない検索語群の中で、共通して含まれている単語が「silver」だったとします。このように「silver」という語が全体として低いパフォーマンスを示していれば、それをネガティブキーワードに設定することで、同様の語句を含む今後の検索にも広告が出ないようにできます。
逆に、「arch support」など一部の語句が高いCVRを示していれば、それを新たにキーワードとして追加する、商品タイトルに組み込むなどの施策が可能になります。

Picaroの実践事例1:低CVRワードを一掃

あるクライアントのケースでは、「#1 mom」「gifts for mom」「mom birthday gift」などmomを含む検索語が多数クリックされていましたが、コンバージョンはほぼゼロ。
N-gram分析を行ったところ、「mom」という単語が一貫してパフォーマンスが悪いことが明らかになりました。通常の検索語レポートでは個別にしか評価できず、気づきにくい共通項ですが、N-gram分析ではこのような横断的な分析が可能です。結果として、「mom」をネガティブキーワードに設定し、CPAが20%以上改善。無駄クリックは35%以上削減されました。

Picaroの実践事例2:取りこぼしていた高CVR語句の発見

別のクライアントでは、ランニングシューズ関連の検索語において「arch support(アーチサポート)」を含む語句のCVRが非常に高いことがわかりました。
しかし、商品タイトルや商品説明文にはその語句が含まれておらず、検索広告でもカバーされていませんでした。すぐに商品ページと広告キーワードを調整し、「arch support」という語を積極的に取り入れた結果、CVRは30%以上改善し、ACOSは40%以上改善しました。N-gram分析は、単に無駄な語句を除外するだけでなく、売れる要素の発見と反映にも役立つのです。

実際にどのようにN-gram分析を行うのか?

Picaroでは、以下のようなツールや手法を使ってN-gram分析を行っています。

N-gram分析はPhase1とPhase2をつなぐ“翻訳装置”

広告運用において、「データを集めること」と「そのデータをどう使うか」はまったく別物です。
N-gram分析は、Phase1で集めた“生のデータ”を、Phase2で使える“意味あるインサイト”に変換する装置だと考えています。広告運用は回しながら賢くなるプロセスです。N-gramという言語的なレンズを通して検索データを分析することで、広告は単なる配信作業から、戦略的な意味づけと意思決定の場へと進化します。

おわりに:広告を“意味”で最適化しよう

検索語は、お客様のニーズが現れる「生の声」です。
N-gram分析は、その言葉の断片を拾い集め、全体像を把握し、広告に反映させるための非常に有効なアプローチです。Phase1で広げ、Phase2で削ぎ落とす。この基本の流れを丁寧に設計し、データを“意味”で理解する。その中心にN-gram分析を据えることで、Amazon広告は格段に洗練されていきます。

Picaroでは、このような分析フローを戦略設計から実行まで一貫してご支援しています。

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