『Amazon Europe』は投資に値するのか 〜第一部:欧州の需要を把握する〜

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目次

第一部:欧州の需要を把握する

Amazon Europeと一口に言っても、実はすべてのマーケットプレイスを一括りにすることはできず、大方の想定よりもずっと複雑なものとなっています。ヨーロッパで販売するということはつまり、イギリス/ドイツ/フランス/イタリア/スペイン/オランダ/ポーランド/スウェーデンを含む8つの異なる言語・文化・ニュアンスを持つマーケットプレイスで販売することを意味します。そして今もなお、ここに更に多くの文化圏が加わっているのです。

代理店である我々は、米国で成功しヨーロッパへの進出を検討している多くのブランドとよく会話をしますが、やはりヨーロッパへの進出は売上拡大に最適な策であるように思われます。ですがここでも、「どのくらい実現可能な話なのか」「ROIはきちんと確保できるのか」という問いは持ち続けなければなりません。

ヨーロッパに進出するにあたって、セラーやベンダーがその実現可能性を判断する上で考慮しなければならない点を、以下ご紹介致します。

どのマーケットから始めるべきか?

 8ヶ国全てにアプローチすることは間違えてもお勧めできません。確実にリソースを消費し、コストの温床となりかねませんし、ヨーロッパでのセールスに一生手を焼くことになるかもしれない為です。まずは1~2カ国のマーケットに絞って、小さな一歩から始めることをお勧めします。最大のマーケットプレイスは、イギリスとドイツで、次いでフランスが続きます。

取り扱う製品の需要動向は?

 最大の市場から手をつけることも大切ですが、その前に、まずはその市場で自社の製品に実際に需要があることを確認する必要があります。例えば、プールを持つ文化が根付いていないイギリスでプール用フィルターを販売するのはあまり良いアイデアとは言えませんし、アメリカのプラグで電化製品を販売するのは、ヨーロッパ本土やイギリスでは電圧が異なるため、絶対にNGです。「どのくらい需要があるのか」「当該の商品・カテゴリーがAmazonで販売制限されていないか」等、しっかりリサーチしておきましょう。

市場競争力はどの程度なのか?

 制限のあるカテゴリーや製品についてよく理解し、販売制限のないこと/需要があることが分かったら、次は、「その製品に関して市場に参入できるスペースがあるか」を検討する必要があります。特定のブランドによる独占/寡占状態にある国もあり、新興ブランドが参入し市場シェアを獲得することが困難な場合があります。認知度がゼロの新しい市場で競争できるほど強力な差別化ポイントが自社ブランドに備わっているかどうか、改めて確認してみてください。

翻訳が効果的にできているか?

 ブランド名については、販売したい国の言語に翻訳された際に、販売に悪影響を与えるような意味を帯びてしまっていないか、常々確認してください。Amazonは(現時点では)車を販売していませんが、ここでは『Vauxhall Nova』という車種名を例にとって考察してみましょう。「No va」はスペイン語で「行かない」という意味で、このことをブランド側が嫌ったのは想像に難くありません。そこで同社は、スペイン市場に適合するよう、車種名を『Corsa』に変えました。なお、自社のブランド名が、欧州本土および英国ですでに他社によって商標登録されていないことをお確かめください。

需要の有無・競争機会・翻訳の精度 等の確認が済んだら、次のステップとして、オペレーションについて検討しましょう。製品の法的適合性の確認、輸送要件や納税要件ならびに諸コストに対する理解・運用などがこれに当たります。オペレーションについては、第二部にてご説明します。