Amazonビジネスにおける、Brexitへの対応について

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アマゾンと契約済みのベンダー、FBAセラーにとって、アマゾンを活用してビジネスのグローバル化を図ることは難しい事ではなくなってきています。

テクノロジー、ロジスティクスの発達が目覚ましい現代では、ECのゴール設定を一つの国レベルではなく、グローバルに設定することが重要だと考えらはじめてます。一方で、EUのBrexit(ブレキシット)のような課題もあり、グローバルブランドにとって、地域性や法的な課題を見直すことも大切です。今回はEuropean Fulfilment Network (EFN)について説明をしていきたいと思います。

アマゾンのフルフィルメントネットワークとは?

ヨーロッパのマーケットプレイスすべてを含むネットワークであり、現在は英国、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、オランダ、スウェーデンが含まれる。

アマゾンベンダーとEFN

EUのベンダー(Amazonへの直卸)はベンダーセントラルに登録する前にEFNについて理解する必要があります。EFNとはすべてのアマゾンヨーロッパマーケットプレイス間で在庫管理を行う取り決めとなります。ベンダーが例えばイギリス、1か国に商品を出品したとしても、ヨーロッパ全土の購入者が、その商品を注文できる仕組みです。

実際どのように機能するのか?

アマゾンがオリジナルのマーケットプレイスの出品(この場合はUK)を、英語から他の国の言語に翻訳し、他マーケットプレイスで出品を可能にする仕組みです。(ただし、商品によってパンヨーロッパ的な売買が禁止・制限されているものもあるためすべての商品が対象とはならないことがあります。)また、商品によっては地域的な合意に基づき、送料込みでも販売価格が安くなることがあります。アマゾンは常にベタープライスを優先するので、最も安い価格の国の商品を、他の国のマーケットプレイスで販売することも行います。

このようにEFNを利用することはベンダーにとって非常に有益であり、売り上げを伸ばすことにつながります。

しかしながら、課題も少なくありません。

直接販売を行っていないマーケットプレイスにおいて(今回のサンプルの場合はUK以外)、ベンダーはベンダーセントラルアカウントを保有することができず、SEO対策、キャンペーンの管理、A+コンテンツの作成、プロモーションや、もろもろの修正加工が制限されてしまいます。

上記の問題を回避するために、直接販売を行っていない国(今回の場合はUK以外)では売上の最大化を図ることができないため、各国においてベンダーアカウントを設定することを推奨しています。

FBAセラーとEFN

EFNはアマゾンのベンダー(直接卸)用の仕様となっているため、FBAセラーは自動的に利用できるものではありません。EFNはアマゾンヨーロッパマーケットプレイスアカウントを保持し、地域のフルフィルメントセンターに在庫を持ち、ヨーロッパでの需要に柔軟に応えることで在庫管理を容易にします。また、一つの商品につき一つのVAT番号を管理することでグローバルセールも簡略化できます。セラーは在庫をコントロールし、グローバルに販売を目指す必要があり、既存のアカウントをEUすべてのロケーションにリンクさせることが必要です。セラーセントラルを利用し、グローバルな出品、商品の管理を国ごとに調整することも可能です。出品者は必ずしもEFNを利用する必要はなく、地域に特化し、その地域のマーケットプレイスアカウントを保持し、在庫を地域のアマゾンフルフィルメントに保管すれば、その地域でのスピーディーな取引、配達が可能となります。

フルフィルメントの費用など、詳細についてはこちらを確認

https://services.amazon.co.uk/services/fulfilment-by-amazon/pricing.html

Amazon Pan-European FBAとは

パンヨーロッパFBAは、出品者にヨーロッパ中のプライム会員に商品のアクセスを効率的、迅速に与えるものです。パンヨーロッパフルフィルメントとはアマゾンが拠点を置くEUの国すべてにおいてVAT登録しているビジネスが対象となります。よってVATによる制限がないため、パンヨーロッパFBAはヨーロッパ域内にて戦略的に在庫を管理、コントロールする仕組みとなります。VAT登録をすべての国で行う必要があるため、スモールビジネスにとってはよりコストがかかる仕組みとなるので、この点は注意が必要です。https://services.amazon.co.uk/services/fulfilment-by-amazon/pan-european-fba.html

パンヨーロッパFBA vs ヨーロッパフルフィルメントネットワークの比較

Brexit(ブレキシット)による出品者の課題

VAT登録とロジスティクスの確保によりアマゾンは在庫を自由に動かせるため、ベンダーにとってはブレキシットはそこまで難しい課題ではなりません。

一方で、ブレキシットはアマゾンのFBAビジネスにとって大きな打撃を与えてしまいます。

イギリスがユーロを離脱することにより、FBAは分裂を余儀なくされ、EUのオーダーはイギリスのウェアハウスから調達できなくなってしまいます。また、現在のオペレーションは2020年12月末までとなり、2021年1月にイギリスが正式にEUを離脱することにより継続が不可能となってしまいます。

アマゾンはブレキシットについて次のように発表しています:

2020年1月31日をもってイギリスはEUを正式に離脱した。2020年12月31日までを移行期間とし、2021年1月1日にEU単一市場・関税同盟を正式に脱退する。 EUと英国による交渉は現在も続いているが(新関税率などについて)、2021年1月よりEUと英国間に関税が発生することとなり、両国間でのビジネスに大きなインパクトが予想されます。 2021年1月1日より下記の影響が予想されます:

  • UK/EU間のEFNを活用したFBAオファーはできない。
  • パンヨーロッパFBAの物流はUK/EU間で停止する。(EU域内での物流は継続)
  • 影響を最小限に抑制し、在庫管理をスムーズに行うためにUK/EU両国のフルフィルメントセンターに分けて在庫を保持することを推奨する。

2021年1月以降もアマゾンは通常通り継続するが、新関税の導入などの準備は必要となる。ブレクシットへの対応や準備に関する情報は下記の別サイト参照→ 日頃アマゾンでの出品・販売に感謝をするとともに、このような変化・移行のタイミングにおいてUK/EUにて出品されている皆様のサポートにベストを尽くす所存である。新しい情報がわかり次第お伝えし、御社のビジネスを引き続きサポートしていきたい。

アマゾン出品者、セラーのブレキシット対応は?

現在EU域内にて取引があり、取引を今後も継続するのであれば、両国間の動きを注視する必要があります。迫る期限に対応し、準備が必要です。まずは在庫をイギリス、EU(ドイツなど)に分けることなどがベストな解決法と考えられます。

アマゾンDEにてドイツのVATを登録するなど、時間を要する手続きもあります。加えて、新たに運送費、保管費用が発生することも念頭に置くべきです。

ブレキシットについて理解を深め、過度な売り上げの減少を防ぎ、様々な課題に備える必要があります。

最後に

異なる地域にて商品を販売するのは言葉や慣習、法律、通貨など様々な問題を伴うものです。ロジスティックス、フルフィルメント、翻訳、地域サービスなど、アマゾンでのビジネスについて、プロフェッショナルなサポートが必要な場合は、㈱ピカロに問い合わせください。