もしあなたがAmazon Vendor Centralを利用して商品を販売しているなら、ほぼ確実にAmazon ContraCoGS契約に参加しているはずです。ContraCoGS契約は、Amazonとベンダーの取引関係を規定する重要なもので、商品のプロモーション方法や配送コスト、返品対応、さらに特定のAmazonプログラムに関わる費用まで幅広くカバーしています。
ただし、多くのベンダーはこの契約の仕組みをよく理解していないまま受け入れてしまっているのが実情です。ここに大きな落とし穴があります。ContraCoGS契約は正しく理解して交渉・活用すれば売上の改善につながる一方、何も理解せずに従ってしまうと利益を削るプログラムにもなり得るのです。
本記事では、ContraCoGS契約の仕組み、種類、ビジネスへの影響、よくあるAmazonのエラー、そしてベンダーが取るべき交渉のベストプラクティスまで、徹底的に解説します。
Amazon ContraCoGS契約とは?
Amazon ContraCoGS契約は、Amazonとベンダー(仕入れ先)の間で交わされる契約で、両者のビジネス関係を包括的に定めるものです。
契約には次のような要素が含まれます。
- Amazonフルフィルメントセンターへの輸送コスト(WePay利用時のみ)
- 商品破損や不良品返品に伴う費用負担
- Amazon独自のプログラム:
PICS(配送先倉庫数削減)
AVS(アカウントサポート)
Acapulco(パレット単位注文)
こうした条件はベンダーにとって便利に見える一方で、理解の度合いによって大きな差が出ます。きちんと把握すればコスト削減や売上拡大につながる一方、理解不足だと「なぜ利益が減っているのか分からない」状態に陥るのです。
ContraCoGS契約の5つの種類
1. 輸送費・損傷補償
輸送費はAmazonが商品を引き取り倉庫に届ける際に発生します(WePayの場合のみ、PrePaidは対象外)。損傷補償は、顧客が保証期間内に返品した際の負担分です。
問題は、Amazonが損傷データを十分に共有しないことが多い点。理解せずに契約すると、正当性の不明な費用が積み重なり、気づかないうちに利益が大きく削られます。
2. 販売量インセンティブ(Volume Incentives)
一定の売上目標を達成すると割引が適用されます。Amazonにとっても発注増につながり、ベンダーにとっても条件を満たせば利益率改善が期待できます。ただし、現実的な売上目標かどうかを見極めずに合意すると、投資が無駄になり逆効果になる可能性があります。
3. 固定支払い(Straight Payments)
Amazon Vineや広告パッケージといった特定のプロモーションは固定額で課金されます。メリットはコストが明確な点ですが、施策を正しく理解せずに利用するとROIが合わず、支出が利益を圧迫するケースも少なくありません。
4. (SPA)/FLEXプロモーション手当
Amazon内の販促活動(Lightning Dealsやクーポンなど)をベンダーが資金提供する仕組みです。販売数に応じて費用が調整されます。
5. 価格保護(Price Protection)
ASINの仕入れ価格を下げると、Amazonは既存在庫や輸送中商品の在庫にさかのぼって仕入れ価格を調整し、差額を回収します。もちろん既存在庫や輸送中の在庫に対しては値下げの対象ではなくすることもできますが、その場合は販売価格が下がらないので、競争力がなくなり、売上が下がってしまいます。
ContraCoGS契約が与える影響
ここで改めて強調したいのは、ContraCoGS契約は理解して使えば売上改善のチャンスになるが、理解せずに受け入れると利益が確実に減るプログラム であるということです。
- AVSやPICS:サポートや物流効率化により売上改善につながる可能性あり
- Volume Incentives:現実的な目標設定と交渉ができればメリット大
- FLEXプロモーション:新規顧客獲得の武器だが、ROIを理解しないと赤字要因に
つまり、「契約自体が悪い」のではなく、理解と交渉の有無が成果を分ける最大のポイント になります。
Amazonによるよくあるエラー
Amazon側の処理ミスで損をしてしまうケースもゼロではありません。
- 契約期間外での請求
- 誤った割引率や金額の適用(古い契約条件のまま)
- ベンダーコード取り違えによる誤請求
- 返品や欠品に応じた調整漏れ
これらのエラーを防ぐには、Picaroが提供するベンダー向け在庫リカバリーサービスに相談するか、自社で契約日程や請求内容を詳細に記録・確認することが欠かせません。
ContraCoGS交渉のベストプラクティス
- 条件と限界を事前に設定
譲歩できる範囲を決めておけば、不利な妥協を防げます。 - 過去契約をレビュー
Amazonが守っていない部分を洗い出し、交渉の材料に。 - データを整理する
売上、利益率、支出データをVendor Centralから抽出し、自社の価値を数値で示す。 - 競合ベンチマーク調査
Amazonは同カテゴリ比較を重視するため、他社データを用意しておくと有利です。 - 要求を明確に
費用の妥当性や補償の根拠を事前に整理し、交渉時に一貫した姿勢を取る。
FAQ
Q. ContraCoGS契約とは?
A. Amazonとベンダーの取引条件を定める契約で、輸送費、返品費用、プロモーション手当などが含まれる。
Q. 契約や支払いはどこで確認できる?
A. ContraCoGSポータルで請求書・契約・支払いを確認可能。
Q. 差分は回収できる?
A. はい、適切に申請すれば、正しい金額を回収することは可能です。ただし、計算はかなり難しいので、Picaroの在庫リカバリーサービスを利用することで、それらの工数を大きく削減することが可能です。
まとめ
Amazon ContraCoGS契約はベンダーにとって避けて通れない存在です。しっかり理解して活用すれば売上改善につながりますが、理解せずに従うと利益を確実に削られるリスクがあります。だからこそ、自社で知識と交渉力を持つこと、もしくは専門サービスを利用して監査・改善を行うことが、Amazonで利益を守り成長を続けるために不可欠です。
Picaroは沢山のベンダー様のご相談を承っておりますので、まずはお気軽にご相談ください。【お問い合わせはこちら】